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【TechGALA 2026レポート DAY1】スタートアップエコシステムが機能する東海エリアのポテンシャル

公開日:2026.01.29

「TechGALA Japan(テックガラ・ジャパン)」は、先端のものづくりイノベーションが生まれている東海エリア=愛知・名古屋・浜松におけるテクノロジーの祭典。
2026年は1月27日(火)・28日(水)・29日(金)の3日間、名古屋市で開催。主催は、一般社団法人中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市、浜松市等で構成されるスタートアップ・エコシステムの形成を目指す「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」。TechGALAのGALAは、Global、Alliance、Leadership、Advancementの意味を込めている。
世界と繋がるエコシステムが可視化され、中部地域のオープンイノベーションのうねりを感じる同イベントの現場の熱量をレポートする。

起業支援ラボ編集部

「起業支援とは何か?」をデータやファクト、哲学から考察し、提言するWebメディアの編集部。起業支援業界内外のさまざまな人たちと、さまざまな角度から問いを投げかけ、起業支援というブラックボックスを明らかにしてゆく。起業の開業率・存続率・成長率を上げ、社会の新陳代謝を促す起業の支援を考える。

再定義と循環の音が鳴り響いた幕開け

TechGALA 2026は、「未来を描く」「現在を探る」「明日を創る」という3つのテーマを掲げ、3日間にわたり名古屋で開催されるテクノロジーカンファレンスだ。2026年の出展者数は昨年の倍近くとなる250社以上となり、初日は運営側が3日間の来場者目標としている6,000人をたった1日で超えたという。
オープニングでは、テクノロジーを想起させる音楽演出とともに、未来とエコロジーを強く意識した世界観が提示された。
オープニングアクトで鳴り響いたのは、テクノロジーを想起させる音楽だった。それは単なる電子音楽ではなく、演奏に使われていたのは役目を終えた家電をリサイクルして制作された楽器の一部だった。
廃棄されるはずのモノが、音を生み、空間を震わせる。その光景は、TechGALAが示そうとする未来が、「新しい技術を生み出す」だけではなく、既にあるものを再定義しどう循環させるかという問いと結びついていることを象徴していた。

オープニングアクトで響いたのは扇風機をリサイクルして作られたギター風の楽器の音色

地球の未来を、同じ場で語り合うために

オープニングとキーノートを通じて示されたのは、TechGALAの思想的な立ち位置だ。このイベントでは、「未来」という言葉の意味は参加者ごとに異なる。起業家、研究者、企業、行政、来場者等、多様な立場から地球の未来を描き、同じ空間で語り合うこと。TechGALAは、そのための「場」として設計されている。
「未来を描く」「現在を探る」「明日を創る」。3つのテーマは、直線的なロードマップではなく、立場や視点の違いを前提とした、多層的な問いかけとして提示されていた。

Central Japanが担う、ディープテックの現在地

キーノートで繰り返し強調されたのが、東海エリア=Central Japanの存在感だ。
東海エリアは、ディープテックの文脈において、単なる「地方」ではなく、スタートアップエコシステムが実際に機能し始めている中心地として語られた。
研究機関、製造業、産業基盤が集積する東海エリアでは、技術が研究段階に留まらず、社会実装へと進む土壌がある。
TechGALAは、そのポテンシャルを可視化し、国内外に向けて発信する役割
を担っている。

アスリートの進化は、人類の未来を先取りする

午後に行われたセッション「テクノロジーが描くアスリートの進化と人類の未来」では、スポーツの具体的なフィールドを通じて、テクノロジーと人間の関係が掘り下げられた。
現在、スポーツ領域の課題は、AIやデータ取得後の「分析」にある。
データ処理には大きな計算リソースが必要であり、競技ごとに求められる精度が異なる。
対戦相手が存在するスポーツでは、自分だけでなく相手側の分析も必要となり、技術以外の要因が大きな障壁だ。
一方、フィギュアスケートのような個人競技・非対人競技では、テクノロジー活用が着実に進化しているという。
登壇者たちの認識は共通していた。
課題はあるが、テクノロジーによってアスリートは確実に進化していく
進化は、競技のためだけではなく、スポーツを通じて生まれた技術は人類全体に波及し、「勝つため」ではなく「楽しむため」「幸せになるため」のテクノロジーへと転化していく。

新エネルギーが作る未来──東海という現場から

DAY1後半に行われた、第9回 東海スタートアップカンファレンス「新エネルギーが作る未来」は、この日の中でも特にローカル性と未来性が交差するセッションだった。
核融合や再生可能エネルギーといった、世界を変え得る技術が語られる一方で、議論の中心は「技術そのもの」ではなかった。焦点は、誰が、どの立場で、どこまで未来を動かそうとしているかに置かれていた。これまでエネルギー業界は、大手企業を軸に構築されてきた。しかしこの10年で、スタートアップが自力で広がるムーブメントが起きている。その中で大企業のスピード感に対する率直な問題提起もあった。東海エリアには、オーナー系で胆力のある企業が数多く存在していることが語られた。
一緒に動ける産業プレイヤーがいる。この地域の強みが示された。

エネルギーの先にある、人類の創造性

議論はやがて、インフラや利権、さらには国家という概念にまで及んだ。
分散型エネルギーが現実的な選択肢となる中で、「エネルギーに困らない世界」が実現したとき、人類は何を手にするのか。
人類の歴史は、エネルギー確保の歴史でもある。もしその不安から解放されたなら、私たちは古代ギリシャのように、創造性を解き放つ社会を再び築けるのではないか。その未来の実現に必要なのは、技術だけではない。
主体性、そして知ること(エネルギーリテラシー)
自分たちが使っているエネルギーが、どのような供給構造の上に成り立っているのかを理解することが、未来を選び取る第一歩になる。

DAY1が示したもの

TechGALA 2026の初日は、未来を語りながらも、決して抽象論に終始しなかった。
スポーツ、エネルギー、地域産業。それぞれ異なる切り口から、「未来はどこで、誰の手によって形作られるのか」が問われていた。
その答えの一端が、Central Japanという場所にあることを、DAY1は示していた。

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